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NMNとは何か?そしてその潜在的なロンジェビティへの効果

目次
- イントロダクション
- NMNとは?ニコチンアミドモノヌクレオチドの基礎
- NMNが含まれる食品
- NAD+とは?
- 体内でのNMNの移動
- NMNと遺伝子発現
- NMNとミトコンドリア機能
- NMNのロンジェビティとアンチエイジングへの潜在的な効果
- NMNサプリメント:メリットと注意点
- ニコチンアミド・モノヌクレオチド
- NMNの適切な摂取量とは?
- NMNの未来:進行中の研究と今後の期待
- まとめ
2. NMNとは?ニコチンアミドモノヌクレオチドの基礎
NMNの理解は、その構造から始まります。NMNはニコチンアミド基、リボース糖、そしてリン酸基からなる天然由来の分子です。NMNは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の重要な前駆体として、私たちの体内で大きな役割を果たしています。この重要な分子は、私たちの体内のエネルギー産生に関わり、細胞の働きをサポートしています。
3. NMNが含まれる食品
私たちの体は主にビタミンB3からNMNを合成しますが、以下のような一部の食品にも含まれています。

- アボカド
- ブロッコリー
- キャベツ
- 枝豆
- きゅうり
- トマト
- えび
特に枝豆やアボカドには多くのNMNが含まれています。NMNだけでなく、NRやその他のNAD+前駆体も、野菜、肉、牛乳、発酵飲料(クラフトビールなど)に含まれています。
哺乳類では、酵素「ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ」(NAMPT)がビタミンB3からNMNを生成する重要な役割を果たしています。
NAD+の合成にはNMNが不可欠であり、NAD+は細胞のエネルギーと働きに不可欠です。したがって、NMNは細胞の健康を維持する上で重要な要素となります。このため、NMNサプリメントの可能性が注目されています。
4. NAD+とは?
NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、すべての生きた細胞に存在する重要な補酵素であり、代謝プロセスにおいて重要な役割を果たしています。NAD+は、細胞の代謝プロセスにおいて酸化還元反応をサポートし、栄養素をエネルギーに変換する電子運搬体として働くことが知られています。また、NAD+はさまざまなシグナル伝達経路に関与しており、DNAの安定性維持や、細胞の健康を支える酵素の働きにも必要です。
5. 体内でのNMNの移動
体内でのNMNの移動プロセスは、その潜在的な健康効果において重要な役割を果たしています。
NMNを経口摂取すると、数分以内に体内のNMNレベルが大幅に上昇します。NMNは、Slc12a8という特定の酵素によって細胞膜を通過し、細胞内へと運ばれます。腸内にトランスポーターが存在するため、NMNは経口摂取後に吸収しやすくなります。吸収されたNMNは迅速にNAD+に変換されます。
この迅速な吸収と輸送は、NMNサプリメントの潜在的な利点にとって重要な要素です。
6. NMNと遺伝子発現
NMNは細胞エネルギーだけでなく、遺伝子発現の働きにも関与する可能性があると考えられています。遺伝子発現とは、遺伝子の情報を使って機能的な物質(タンパク質など)を作り出すプロセスのことです。
研究では、NAD+には以下のような働きがあると示唆されています。
- 遺伝子の安定性を維持する
- DNA修復に必要なエネルギー産生に関与する
これらの重要な役割により、NAD+は細胞の健康と働きに不可欠です。
年齢を重ねると、NAD+レベルは自然に低下し、その変化と健康との関連が知られています。この低下は、慢性疾患を持つ人々でも見られます。
一部の動物実験では、体内でNAD+レベルが上昇すると、サーチュインの働きに変化がおきました。これにより、酵母、ミミズ、マウスの寿命に影響を与えたという報告があります。これにより、NMNが老化に関連する健康問題をサポートする可能性があることが示唆されています。
7. NMNとミトコンドリア機能
NMNの主要な利点の一つは、ミトコンドリアの健康と働きに対する影響です。ミトコンドリアは「細胞の発電所」と呼ばれ、細胞が必要なエネルギーを生成します。しかし、ミトコンドリアの機能が加齢とともに変化することが報告されています。研究によると、NMNはミトコンドリアの健康維持に関与すると示唆されています。特にサーチュインとの関連が注目されており、PGC1αやミトコンドリアサーチュインSirt3の働きによってミトコンドリアの機能をサポートすると考えられています。
さらに、NMNがタンパク質のリサイクルをサポートするオートファジーとの関連が示唆される結果が報告されています。これにより、NMNが細胞の健康において果たす重要な役割が示されています。NMNとミトコンドリア機能の関係は、健康維持やエイジングケアに関心を持つ方々の間で注目されており、今後の研究が期待されています。
8. NMNのロンジェビティとエイジングケアへの潜在的な効果

NMNは細胞エネルギー、ミトコンドリア機能、筋肉の健康に大きな影響を与えるだけでなく、さらに多くの潜在的な利点があります。例えば、NMNは加齢とともに変化するさまざまな体の仕組みの健康維持をサポートすると考えられています。
NMNのもう一つの重要な効果は、生物学的年齢を安定させ、一般的な健康評価スコアを維持することです。年齢を重ねるにつれて、NAD+やその前駆体であるNMNの産生は自然に減少し、加齢に伴う生理的衰退と老化プロセスの進行が進みます。
しかし、NMNのサプリメントを摂取することで、この減少を制御することができ、エイジングケア成分として期待されます。
さらに、NMNの摂取により、老化による体重増加をコントロールし、マウスの目の機能や認知機能を正常に保つという研究結果もあります。
NMNと脳の健康
- 認知機能の維持
- 抗炎症作用
- ミトコンドリアの働きを向上
- 脳への血流改善(特にマウスの研究で確認)
これにより、NMNが脳の健康やロンジェビティに役立つ可能性があると示唆されています。
NMNの代謝健康への影響

NMNは脳の健康だけでなく、代謝機能にも効果が期待されています。代謝健康とは、私たちの体の中でエネルギーを作り出す過程が正常に働いている状態を指し、次のようなことが含まれます:
- 食べ物をエネルギーに変換する
- 血糖値を調整する
- 健康的な体重を維持する
- コレステロール値を管理する
- 心血管の健康をサポートする
NMNを摂取して体内のNAD+レベルを増加させることで、代謝健康への影響があり、特にインスリン感受性やNAD代謝の変化が良好になる可能性があります。インスリン感受性は血糖値を正常に保つために重要な役割を果たします。
また、NMNは体内の脂肪蓄積の減少、つまり体脂肪の減少にも関連しています。さらに、NMNは年齢とともに増加する体重をコントロールし、エネルギー代謝を向上させる効果があり、これらは筋肉の健康を維持するためにも重要な要素です。
NMNと筋肉の老化

NMNは細胞エネルギーやミトコンドリアの機能に影響を与えるだけでなく、筋肉の老化に対しても効果が期待されています。加齢とともに、骨格筋の機能は徐々に低下しますが、NMNの摂取によってこの低下を遅らせたりできる可能性があります。
研究によると、NMNのサプリメントは筋肉のリモデリングに関連する遺伝子を活性化し、インスリンシグナル経路を強化しました。これにより、NMNが加齢に伴う筋肉の健康維持に重要な役割を果たす可能性が示されています。
9. NMNサプリメント:メリットと注意点
NMNサプリメントの可能性はとても魅力的ですが、バランスの取れた視点で考えることが大切です。確かに、NMNの摂取には以下のような健康面でのメリットがあるとされています。
- NAD+レベルの上昇
- インスリン感受性の向上
- ミトコンドリア機能のサポート
- 臨床試験で示されたロンジェビティの可能性
しかし、NMNサプリメントには注意すべき点やリスクもあることを理解しておく必要があります。例えば、臨床研究では 1日あたり1,200mgまでの経口摂取 が 安全で副作用も最小限である ことが示されていますが、それ以上の高用量については十分な研究がされていません。また、NMNが特定の薬とどのように相互作用するかについても、まだ不明な点が残っています。そのため、NMNの摂取を始める前に 医療専門家に相談すること が重要です。
10. ニコチンアミド・モノヌクレオチド
動物実験と臨床試験から得られた知見
NMNサプリメントのメリットや注意点を考える際、動物実験や人を対象とした臨床試験から得られた知見が参考になります。これらの研究は、NMNの潜在的なメリットを裏付ける重要な証拠を提供しています。
例えば、日本で行われた 臨床試験 では、NMNを 1日500mgまで経口摂取 した場合、安全性が確認され、良好な耐容性があることが示されました。さらに、他の臨床試験では 900mgまでの摂取 でも一般的に問題がないことが示されており、個人が摂取量を決める際の参考になります。
また、長期間にわたる マウスを用いた研究 によると、NMNは経口摂取後に 素早く吸収される ことが分かっており、長期間の摂取でも耐容性があるとされています。これらの研究結果は、NMNの安全性と有効性を裏付ける重要な結果となっています。
11. NMNの適切な摂取量とは?

NMNサプリメントに関するよくある質問のひとつが、「どのくらいの量を摂取すればいいのか?」という点です。しかし、この質問に対する答えは一概には言えず、やや複雑です。
一般的に、市販のNMNサプリメントは 100mgから300mgの錠剤 として販売されています。これは食品に含まれるNMNの量よりも かなり高い 数値です。臨床研究によると、1日250mgの少量から1,200mgの高用量 までの範囲で健康面のメリットが報告されています。
ただし、NMNの適切な摂取量は 以下のような要因 によって異なる可能性があります。
- 体重
- 食事による影響(食物不耐症など)
- 持病の有無
- 服用中の薬との相互作用
そのため、NMNサプリメントの摂取を考えている場合は 必ず医療専門家に相談することをおすすめします。
12. NMNの未来:進行中の研究と今後の期待

NMNに関する研究が進むにつれ、その未来への期待も膨らんでいます。2023年の時点で、NMNサプリメントに関する12件以上の臨床試験が進行中であり、この分野の研究が活発に行われています。
現在の研究では、NMNが加齢に伴う疾患(酸化ストレスや神経変性など)にどのように作用するかを調査し、代謝機能や細胞の健康維持を通じてロンジェビティに繋がる可能性を探っています。マウスを用いた研究では、NMNが様々な疾患に対して有望な効果を示しており、人間の健康にも良い影響を与える可能性が示唆されています。特に、NMNの代謝サポートやエイジングケアに関する研究は注目されています。
今後のNMNに関する臨床試験のレビューでは、補助的な摂取の影響を明らかにし、今後の研究方針を定めることが目的とされています。NMNの研究は急速に進化しており、この強力な分子が持つ可能性に期待が寄せられています。
13. まとめ
NMNは自然に存在する分子であり、細胞エネルギーの向上、ミトコンドリア機能のサポート、骨格筋の健康維持、加齢に伴う健康問題の対策に大きな可能性を秘めています。NMNサプリメントを摂取することでNAD+レベルを効果的に増やせる可能性がありますが、NMNやNAD+の前駆体を含む食品から自然に摂取する方法もあります。現在も研究や臨床試験が進められており、その健康効果の解明が進められています。しかし、NMNサプリメントの使用にあたっては、必ず医療専門家の指導のもとで慎重に行うべきです。
14. 重要なポイント
NMNはNAD+の前駆体であり、細胞のエネルギー生成や機能維持に不可欠な成分。 加齢に伴いNAD+レベルが低下するため、NMNの補給によりミトコンドリアの健康や代謝のサポートが期待できる。 - 研究によると、NMNはミトコンドリア機能のサポート、骨格筋の健康維持、加齢に伴うトラブルに役立つ可能性がある。 また、脳や代謝の健康に対しても有益であることが示唆されている。
- NMNは最大1,200mgの摂取で安全性が確認されているが、信頼できるブランドを選択するのが大事。NMNサプリメントを摂取する際は慎重になり、医療専門家に相談することが推奨される。